毎年やってくる海の香り
毎年冬になると、ある友人から皆に一斉メールが届きます。
『今年も牡蠣の季節がやってきましたよ~!!』
その友人のご実家では牡蠣の養殖をやっていて、牡蠣の季節になると注文受付開始の連絡をくれるのです。
かなりお安い価格で送って頂けるので、案内をもらうと、「お!来た!」と嬉しくなります。
私はいつも袋いっぱいの1Kgの牡蠣を買うのですが、産地直送なので、新鮮で美味しい!
毎回家に届くと、まず食べるのが生ガキ。
そのまま食べたり、醤油やポン酢をたらして食べると、海の自然な甘みが口いっぱいに広がります。
次に食べるのが、焼き牡蠣。
荒く刻んだキャベツとキノコ類をホットプレートで焼き、牡蠣は焼き目が少しついた程度。
キャベツと牡蠣を一緒に箸で挟んで頬張ると、美味しいジュースが唇からこぼれそうに。
私はこの焼き牡蠣が一番好きな食べ方かもしれない。
まだ牡蠣が余っていれば、牡蠣の炊き込みご飯、牡蛎鍋からの牡蠣雑炊、牡蠣グラタン、牡蠣フライ・・・etc.
美味しいラインナップはたくさんある!
そして他にも注文できるのが、海藻類。
私はわかめがお気に入りなのだけど、あんなにとろけるように美味しいわかめは初めて食べました。
刺身と一緒に皿に盛ると、それは刺身のツマではなく、刺身の種類のひとつとなります。
食べることが大好きな私は、毎年牡蠣とわかめで幸せな気分を味わうことができました。
その海の幸を送ってきてくれていた町、南三陸町。
地震によって、壊滅的な被害を受けました。
その全てが流されてしまった様は、報道されている通りです。
地震から数日後、友人はようやくご家族全員の無事が分かり、皆で喜びました。
色々と話を聞きましたが、足元まで水が迫っていたということなので、
本当にギリギリで難を逃れたのだそうです。
現在は避難所暮らしだとのことでご不便があるようですが、幸いにも衛星電話が設置されており、
ちょくちょく電話をもらえるそうです。
おかげで、今足りない物の情報をすぐに連絡してもらえます。
宅配便がある程度復旧しているとのことで、援助物資を送れるようになりました。
避難所まで直接は無理なのですが、宅配便で届けられる場所から運んでもらえる人員は確保済みとのこと。
友人から早速援助の依頼があったので、家中から必要なものをかき集めて、渡しました。
大変なのは、これからです。
時が経つにつれて必要なものが変わっていくでしょう。
出来る限り、協力を続けていきたいと思っています。
私の実家は貰いものが溢れかえっていて、いつも母にはいらないものは捨てろ、無駄だと言ってきましたが、
一向に片付かない家でした。
しかし今この状況を迎えて見ると、そこは宝庫に見えます。
これからは、「それ、とっておいてね」と母に言うことになるでしょう。
復興にはどれ程の時間と労力とお金がかかるのか想像もつきません。
でも、友人はこう言っていました。
「どのくらいかかるかわからないけど、また皆にウチで作った牡蠣を食べてほしい」
待っているよ。
協力は惜しまないから。
また「牡蠣を1Kgください」と呑気にメール出来る日を思い描いて。